整骨院など治療院を法人化して会社設立するメリット・デメリット
現在整骨院や治療院で開業していて、2店舗、3店舗と分院展開したい、もしくは分院をもうすぐ作る予定だという方はきっとたくさんいることでしょう。
分院展開のタイミングは思いがけずやってくるものです。
多くの方は整骨院など治療院を開業する際は個人事業主としてはじまり、分院を考え始めた頃に、株式会社の設立を視野に入れているのではないでしょうか?
そこで、本日は株式会社の設立するメリット・デメリットをまとめたいと思います。
適切な判断をするために、どのようなメリット・デメリットがあるのか、参考にして頂ければ幸いです。
株式会社を設立するメリットは?
・社会的な信用度が高い
一般的には株式会社にする一番のメリットです。他の業種では法人でなければ取引ができな企業もあります。
しかし、整骨院など治療院では患者さんにとって法人か個人かなどあまり関係のないことです。あくまで治療家の能力や信頼が重要になってきます。
・節税の視点で考えると
①所得税と法人税の税率の違い
個人事業の所得税は累進課税のため、所得が増えれば増える程、税金が高くなります。そのため、法人にした方が税率がお得になります。
節税として、年間所得が500万円を継続して超える水準になってくれば会社にした方が有利です
②経費の幅が増える
個人事業でも認められている部分もありますが生命保険や自宅兼事務所、自動車、退職金など、法人にした方が経費として認められる幅が広くなります。
分院展開する場合、テナントの保証金や内装工事費などハード面の資金や運転資金の確保など、出ていく資金も多くなっていくので、経費の幅は大きいほうがよいですね。
③家族への給与
個人事業では原則として家族に給与を支払えません。青色事業専従者給与として税務署へ届出をした場合にのみ認められています。
法人の場合はそういった制限がありません。自由度が広がります。所得分散をして所得税、住民税を小さくすることが可能になります。
法人での運営は事務的な負担やランニングコストが発生することもふまえて税理士と相談して税額を計算してもらうのが良い選択です。
・融資や資金調達の幅が広がる
金融機関からの資金調達は個人と法人ではずいぶん違います。個人で銀行などから融資を受けようとする場合、保証人を要求されるなど、条件が厳しくなります。
法人の場合は融資に関して可能性が高くなってきます。これは、法人として3年以上経過してから感じることができるようになります。
・人材確保にやっぱり有利
採用はやはり法人の方が魅力的です。働く人にとって、個人よりも法人の方が安心感を与えますので採用もしやすくなります。
・事業に対するモチベーションが上がる
会社を設立するということは、将来に対しての意思表示であると言えます。なぜなら、わざわざ法人の設立費用(約25万円)を支払って事業を法人化させるのですから、そうまでする理由があると言えるからです。
事業を続ければ必ずなんらかの課題にぶつかり、苦難を乗り越える必要があります。そのため事業の将来にわたって成功させる「決意」がやはり重要になってきます。
そうした決意が出来る節目が法人化であるとも言えます。
株式会社を設立するデメリットは?
・社会保険料がネックになる
一番のデメリットは従業員を雇い維持するコストが増加することです。
法人化すると、健康保険と厚生年金保険への加入が義務づけられ、保険料は給与額に応じて決まりますが、国民健康保険と国民年金に比べて高額になります。
おおよそ給料の3ヶ月分を法人と従業員で折半するイメージです。
会社しては、従業員が増えれば増える程、給料が大きければ大きいほど比例してコストが上がります。
・法人税の均等割
赤字であっても年間7万円を納めなければいけません。それが法人住民税の均等割です。
・法人都道府県民税均等割 20,000円
・法人市町村民税均等割 50,000円
・役員報酬が変更できない
社長の給料は1年間変更できません。利益が出る出ないに関わらずです。
・必要な手続きが多い
源泉徴収の納付や各種保険の手続きなどやるべきことがとても多いです。
まとめ
法人化するには、資本金とは別に登記手数料などの費用が約25万円ほど必要になります。
・定款に貼る収入印紙代:4万円
・定款の認証時に公証人に払う手数料:5万円
・登記手続きに必要な定款の謄本手数料:約2000円(250円/1ページ)
・登記手続きの際の登録免許税: 最低15万円(※注2:厳密には資本金の額×0.7%)
合計:約25万円
*定款をPDFなどの電子定款にした場合、定款の収入印紙代は不要になるので、4万円を節約することができます。
また、法人化のタイミングで税理士を他と比較することも大切です。